WISE Living Lab
「WISE Living Lab
さんかくBASE」
トークイベント開催

2017.3.13(月)

暖かな日差しが降り注いだ1月31日、「WISE Living Lab さんかくBASE」トークイベントを開催しました。

WISE Living Lab
「WISE Living Lab さんかくBASE」とは?

「WISE Living Lab さんかくBASE」は、「次世代郊外まちづくり」の理念に基づき、地域住民・行政・大学・企業などが連携してまちづくりを進めていくための情報発信や活動拠点となる場所です。次世代の暮らしを体感できる「エネルギーと暮らしのギャラリー棟」、共創スペースと空家活用・住替え・建替などの相談窓口を備えた「コミュニティと住まいのコンサル棟」、集合住宅のモデルルームやカフェなどが入る「まちづくりと住まいのギャラリー棟」の3棟で構成されており、東急電鉄として、これまで多くの皆様と積み重ねてきた一つの成果として準備してきました。

この日のトークイベントは、2017年2月1日に先行オープンする「共創スペース」のお披露目を兼ねたものです。平日にもかかわらず、想定を上回る多くの方にお越しいただきました。新たに誕生するこのWISE Living Labについて、地域の皆様のご期待が高いことを強く感じました。

共創スペース入口では、コーヒーなどのドリンクとクッキーを用意しました。ご来場のみなさまには思い思いのドリンクを選んで会場に入っていただきます。会場のカラフルな装飾や看板は、住民創発プロジェクトでもおなじみのAOBA+ARTのみなさんにご協力をいただきこの日のために用意しました。

Living Labってナニ?

まずはじめにお話いただいたのは、東京大学高齢社会総合研究機構・特任教授の秋山弘子先生です。テーマは「Living Labってナニ?」。Living Labとは、私たちの生活しているコミュニティが企業や行政と共創し、ラボ(研究室)として機能する場のこと。企業のテストマーケティングを実施するなど、ビジネス寄りのものから、コミュニティ形成に重点を置いたものまで事例はさまざまですが、本質的には、住民、企業、行政、大学などが参画し、モノやサービス、あるいは行政施策などを共創していく場のことを指すそうです。1980年代にアメリカで生まれ、その後ヨーロッパで広がって、現在は400近いLiving Labがあると言われています。

これから超高齢社会が訪れる日本。人口減少と長寿化が進み、人生50年と言われていた時代から、今では人生90年と言われるまでになっているのだそう。いまや定年後は余生ではなく、もうひとつの人生、セカンドライフの始まりです。そして、制度もインフラも、今のままでは超高齢社会に対応できません。そこでLiving Labの存在が注目されています。

というのも、次世代の高齢者50〜60代の退職後の社会参加ニーズを調査すると、いちばんしたいことは「働くこと」なのだそうです。次に多かったのが資格をとったり、やりたかったことを学んだりという「自分磨き」。「こうした社会参加を後押しし、コミュニティの中に人の繋がりを維持していく仕組みがLiving Labなのです」と秋山先生。

日本でもつい先日、鎌倉にLiving Labがオープンしました。これは東京大学、鎌倉市役所、今泉台地区の住民などが連携してスタートさせたもので、海外医薬品会社がアジア進出するための包装パッケージの検証に協力したり、次世代モビリティ市場の調査を行ったり。さまざまな企業からの依頼を請け負い、コミュニティビジネスとして展開することで、多くの地域住民の社会参加の機会を創出しているのだそうです。

「WISE Living Lab さんかくBASE」と名付けたたまプラーザ版Living Labをどのように成長させていくのか、私たちにも大きい学びの時間となりました。

WISE Living Labへの期待

後半は、Living Labがこの地域でどのような役割を果たしていくのかを、ゲストと会場のみなさんを交えて話すトークセッションです。モデレーターは石塚計画デザイン事務所の石塚雅明さん、登壇者は秋山弘子教授、美しが丘連合自治会・会長の辺見真智子さん、弊社、都市創造本部開発事業部・副事業部長の太田雅文です。来場者には付箋を数枚配布し、WISE Living Labに期待することや質問などを自由に書いていただきました。

まずは辺見さんに、地域に誕生したWISE Living Labに、地域住民としてどのような期待があるのかを伺いました。

辺見さん「次世代郊外まちづくりを通じていろいろな活動が始まって、今では、この地域の住民で(次世代郊外まちづくりを)知らない人はいないぐらいです。でも多くの人にとってはまだまだ他人事で、一部の人がやっているものという認識があります。この場所がまちづくりの拠点として、例えば引っ越して来られた方が、まずはここに立ち寄ればいろいろな情報が得られる、と思えるような場所、まちのシンボルのような場所になってくれたらいいなと思います。」

東急電鉄・太田「我々も地域が元気じゃないと事業が成り立ちませんので、郊外の再生は大きなテーマです。WISE Living Labの構想もそうした郊外の再生という問題意識から始まりました。なかでもたまプラーザは、住民創発プロジェクトが盛り上がるなど、どんどん新しいものを生み出していく雰囲気があります。そこで、郊外を再生していくモデルのひとつになりえるのではないか期待しています」

石塚さん「そしていよいよスタートしたWISE Living Labですが、住民、企業、行政、大学などが共創する場所として、入口はどうつくっていけばいいのでしょうか。」

秋山先生「行政は企業とやるときにはどうしても慎重になりがちです。そこで大切なのが大学の役割です。大学は利益を得ることが目的ではありませんから、中立的立場で関わることができます。近くの大学を巻き込み、そこから企業を巻き込んでいくと良いのではないかと思います」

特に地域活動が活発なたまプラーザでは、トップダウンで企業がリーダーシップを担うというよりも、住民主体で大学や行政を巻き込み、そこからさらに企業がコミットメントしていくという形が理想的な「共創」のあり方なのかもしれない、と話は展開していきます。

東急電鉄・太田「東急電鉄としてもそのつもりです。WISE Living Labは、企業本位ではなく、地域のための枠組みでなければならないと思っています。どうやっていくのかはこれからですが、共同の事務局をつくって運営していくなどいろいろなことが考えられると思います。とはいえ、東急電鉄のネットワークを活用しない手はありません(笑)。上手に活用していただきながら、運営組織の活性化を目指すのではないかなと思います」

トークセッションは、来場者の付箋のコメントや質問を交えながら進んでいきました。現在建設中の日生社宅跡地の開発のことや、今後のWISE Living Labの運営のことなどについても質問が出ており、期待値の高さも感じさせていただきました。

交流会や施設の内覧会も

その後、軽食を囲んで交流会を行いました。住民のみなさんだけでなく、横浜市、地域の商店街の方々、東急電鉄など、立場を超えた多くの人が集い、会話に花を咲かせました。今回の参加者の中には、初めてこうしたイベントに参加したという方が数多くいらっしゃいました。

午後は「WISE Living Lab さんかくBASE」の施設案内&内覧会を実施しました。トークイベント会場となった共創スペースの2階には住民創発プロジェクトの近況報告パネルがずらりと並んでいます。どのプロジェクトもさまざまな展開を見せており、数年間の取り組みの成果を見ることができました。その後、ミーティングなどでも使える会議室をご覧いただき、西側の「エネルギーと暮らしのギャラリー棟」へ。家の照明コントロールや遠隔施錠、家族やペットの見守りなどに便利な「インテリジェントホーム・サービス」などの説明を受けました。

この先、「WISE Living Lab さんかくBASE」を地域住民の皆様と一緒に価値のある地域施設にしていこうと心を新たにした1日でした。

来場者の感想

  1. Tさん(60代)

    ここを起点に、さらに人のつながりができたらいいですよね。私は今、絵本の読み聞かせと紙芝居をやっているんです。今度「大人のための紙芝居」イベントをやりたいと思っているので、その時にはぜひ、ここが利用できたらと思っています。

  2. Mさん(70代)

    今日は、たまたまチラシを見て、こさせていただきました。家からも近いですししょっちゅう通りますので、簡単に立ち寄れるように、地域的になにかやっていっていただければいいなと思っています。期待しています。

  3. Kさん(40代)

    今日は本当に喜ばしい日だと思います。やっと時代が追いついてきた。この場所ができて、やっと人と人のつながりができるという気持ちです。これからはみんなでこの場所をつくりあげていけたらいいと思いますので、今後ともよろしくお願いします!